「激レア!藤井フミヤ ギザギザハートからTRUE LOVE!」と題してNHK(BSの再放送)で放送された番組が反響を呼んでいる。
別に全然彼のファンでもないのだけれど、タイトルからなんとなく貴重なステージが拝めそうな気がして、見てみたら期待以上の番組(ライブ)構成で良かったです!
過去の映像はほんの少しだけで、基本的には今のフミヤがスタジオで過去の名曲たちを惜しげもなく歌い倒す内容で、所々でゲストとの対談を挟みつつも、基本的にはフミヤのベストソングオンパレードのスタジオライブで、コロナ禍で客を入れてないこともあってより歌に集中して聴ける感じが結果的にすごく良質なアーカイブを見せてもらえた気になった。
藤井フミヤがチェッカーズ時代の歌を解禁
バンドを解散してからバンド時代の歌を封印してしまう歌手は一定数存在するが、フミヤもそのうちの一人でした。
一時代を築いたバンドであるほど、容易くボーカルがソロで唄うことには抵抗もあってか、まして円満な解散でなければ尚更というものである。
チェッカーズはフミヤが脱退してソロになりたいという理由から、半ば強引にボーカルの独断で仕方なしの解散となった経緯があるので、当時解散に否定的だったメンバーからしたらシコリも残る形となり、グループで発表した楽曲群はグループが解体した時点でライブでは歌われることのない過去の遺物となっていた。
フミヤ自身もソロに転じてからはチェッカーズ時代の歌は唄いたくないと言っており、ファンが涙を流してリクエストをしても応じることはなかった。
だがここへきて突然の解禁である。(しかもテレビで)
何がそうさせたのかは不明だが、後期のオリジナル楽曲ならまだしも、初期のバリバリアイドル歌曲も唄うというのだから、ファンでなくとも気になるというもの。
還暦を前に「ギザギザハート」を恥ずかし気もなく堂々と歌いきる姿は圧巻である。
そして衰え知らずの声量にボーカリスト・フミヤの底力を改めて認識させられた。
芹沢氏とフミヤの確執
チェッカーズは元々はアイドルバンドとしてのデビューであったことから、デビューから三年間の楽曲は全て芹沢&売野の作家コンビによって手掛けられ、セカンドシングル「涙のリクエスト」ですぐにスター街道を駆け上がった。
途中から自分たちで作った曲を唄っていきたいというオリジナル志向を訴えて、芹沢プロデュースから抜ける事になるのだが、これがまた絶妙のタイミングであったとされる。
あのまま作家の作った歌を唄うだけのアイドルバンドでいたらもっと早くに解散を迫られたはずで、結果的にオリジナルに切り替えたことで延命したことは明白だった。
だがグループを人気者に仕立て上げた側の芹沢先生からしたら、アイドル側から独立を申し出られたら「人気者になったら用無しかよ!」という感情もなきにしもあらずで、チェッカーズ解散以降の歌の権利は芹沢の事務所に残る高杢&鶴久にのみ残り、フミヤには勝手に歌わせないという条項が付されていたかどうかは不明だが、大人の事情が色々と交錯していたことは事実であり、フミヤもわざわざアイドル時代の歌なんて歌いたくもなかったことから長らく双方の関係は途絶えることとなった。
芹沢氏と和解&楽曲解禁
今回事前にフミヤ側から長年関係の途絶えていた芹沢氏に連絡を取り、会食してテレビ出演をオファーし、芹沢氏がそれを受け入れたことで確執は雪解けし、和解が成立した。
作詞家の売野雅勇と共に座する絵面は貫禄ありすぎですごかったw
小綺麗なジジイなんだがどちらもオーラがすごい!さすがといった印象。
売野氏はまだサービス精神のあるコメントで場を和ませてくれるものの、芹沢氏は圧があって緊張感が伝わるものの、フミヤも物怖じせず「二人のお父さんとして慕っています」と言って完全にチェッカーズ時代の楽曲解禁を解りやすい形で公に知らしめた。
チェッカーズ再結成の可能性は?
この流れから考えるとこれまで限りなくゼロ%だったものが一気に33%ぐらいにまで跳ね上がった気がしますね。
チェッカーズの楽曲でライブをするとなれば「俺一人がグループの楽曲でビジネスをしていいのか」に矛盾が生じるので、再結成をしてのライブ巡業とした方がわだかまりも消えて良さそうだが、芹沢氏の許しを得たならソロで唄っても特段問題はない。
かつて氷室がソロでBOOWYライブを強行したように、ボーカリストの特権とでも言えてしまえるが、やはり29年もの間封印してきたものを解禁したのだから、生半可な覚悟ではないはずだ。
最終的には再結成を見たいファンも多いとは思うが、まずは先にソロでやってみて、反響次第で楽器隊から収集して、アブラーズ→チェッカーズの流れになるかも?
ただドラムのクロベエが他界している為、どうしても7人揃わない以上は再結成にならないというモヤモヤが拭えない。
鶴久と高杢(ツルモク)
長らくフミヤと疎遠となっているサイドボーカルの二人だが、鶴久は昔から一貫してテレビで「再結成したい!」とも訴えており、キャラクター的にもフミヤと敵対するタイプでもないし、何より後期のオリジナル楽曲では鶴久の作曲した歌は絶対に不可欠である。
一方問題なのは高杢で、暴露本まで出してグループの確執を自分視点でぶちまけてしまった罪はあまりに大きく(当時本屋で一時間近く立ち読みして完読しました)、音楽的な面においては貢献度もゼロであり、ビジュアルに華があるわけでもなく(むしろ不快)要らない子であるため、わざわざフミヤ側が頭を下げてまで髭を招集する理由もないわけで、でも彼だけを除け者にして5人でやるとなるとそれもまた世間的には顰蹙を買いそうだし、その意味で鶴久には高杢と一緒に辞退してもらうしかなくなり、でも結局4人でアブラーズとしてやるぐらいならば、もう弟と二人でF-BLOODでやった方が色々と楽じゃないかという結論に毎度落ち着いてしまうというものなのだろう。
藤井フミヤのソロ楽曲を紐解く
TRUE LOVE
ソロデビューシングルにしてダブルミリオンを売り上げたフミヤの代表曲。
グループ名義だったら絶対に成し遂げられなかったであろう記録であり、作曲もフミヤ本人であることから完全に単独の手柄を得ることで、解散→ソロが大正解であったことがすぐに立証された。
月9の主題歌ということも大きいが、アコギを抱えてソロで落ち着いて唄うフミヤの姿もチェッカーズ時代とは異なり新鮮でもあり、文句なしの大成功のソロデビューとなった。
Another Orion
99万枚を売り上げたフミヤのバラード代表曲。
チェッカーズの「夜明けのブレス」を彷彿とさせるラブバラードで、メロディが美しい。
女神(エロス)
「Cross Road」のスマッシュヒットでブレイク前夜のミスチル桜井を作曲に起用したソロセカンドでは「TRUE LOVE」とは対極の雰囲気で妖しく攻める。
ミスチルでは採用できなかった捨て曲かと思う程、全然良くない。
ハートブレイク
作曲に布袋寅泰を起用した6枚目。
オールドロックな革ジャンリーゼントはチェッカーズデビュー前のスタイルに近く違和感はないものの、今更こんな感じはファンは求めていないという。
ただ布袋とフミヤがこの時期に「COMPLEX」のようにユニットを正式に組んでみても面白かったのではないかとは思う。
タイムマシーン
筒美京平先生に依頼した5枚目で、売り上げも30万枚で自身3番目のセールスを記録。
やはり相性は抜群で、キラキラ80’sポップスを唄うフミヤの安定感たるやもう‥。
チェッカーズの好きな曲5選
素直にI’m sorry
個人的にはこれが一番好きですね。
普通に良い曲というか、しっとりサビ始まりのイントロってワクワクします。(ガラスの十代とかTRAIN-TRAINとか)
尚之作曲。
I Love you,SAYONARA
フミヤの作詞センスが光る。
サビ終わりの「アイラビューだけどアイラビューアイラビューさよ・な・ら」がたまらん。
大土井作曲。
夜明けのブレス
後期チェッカーズの代表曲にして名バラード。
この曲で男性ファンを増やした印象。
鶴久作曲。
Long Road
これシングルじゃないんですね。
逆になんでシングルで切らなかったんだ?と思う名バラード。
ファンリクエスト投票で1位を獲得する人気曲。
尚之作曲。
LOVE’91
チェッカーズ人気が陰り始めたどん底期で、知名度も低いが個人的に大好きな曲。
ポップなミディアムバラードでサイドボーカルもうまくハマってる。
大土井の作る曲をもっと採用してもよかったのにと思う。
チェッカーズ前期と後期
チェッカーズの全盛期は84年と85年の丸二年間であり、デビューから7枚目のシングルまでの7枚がグループのセールス的にも上位7位の売り上げを占めていることから、完全にチェッカーズ=初期の印象が強いわけだが、オリジナル楽曲で勝負しだした後期の楽曲も悪くないというか、個人的には断然後期の曲の方が好きである。(芹沢曲はキャッチーだがアイドル臭がキツイ)
ただ最初からオリジナルだったら売れたかどうかは疑わしく、芹沢プロデュースの外注曲だったからこそ売れたのもまた事実で、特に最初の2枚は秀逸。
セールス的にも伸び悩みが続き、解散を決めた最後の年(92年)のラストシングル「Present for you」とそのひとつ前の「Blue Moon Stone」が後期オリジナル楽曲時代の中では売り上げのワンツーを記録したというのもまた面白い。
全てのわだかまりをチャラにして、青春プレイバックのスタイルに入るのもいいんじゃないか?
だってチェッカーズのファンの10割がフミヤのファンでもあるのだから。
フミヤは生粋のボーカリスト
チェッカーズ時代も悪くない
再結成はどっちでもいい