ビジュアル系ロックサウンドというのは日本発の文化であり、独特な歌謡テイストを醸しつつビートが縦ノリの音を刻んでいくお化粧バンドと黒づくめのオーディエンスが作りあげた日本の音楽ジャンルのひとつである。
ビジュアル的には海外のKISSが先駆であるが、あれはメイクでありそれをなぞったのが聖飢魔Ⅱであるが、いわゆるビジュアル系とされるカラフルなヘアーと奇抜でアグレッシブなファッションでJ-ROCKの礎を築いたのはBACK-TICKとX-JAPANではなかろうか。
完成系こそバクチクとエックスであるが、やはりその前世代のBOOWYの影響下にある事は間違いなく、90年代初頭と末期にそれぞれ起こったバンドブームによって様々なバンドが色を添えた歴史を振り返ってみたいと思う。
ビジュアル系バンドロックサウンド5選
BACK-TICK/JUST ONE MORE KISS (88)
もうこれが元祖にして完成系のサウンドでしょう。
8ビートに乗せたポップでキャッチーな旋律。
ビジュアル系という言葉の発信源がXのhideだからどうしてもX JAPANに分があるが、デビュー&売れて認知されたのもBACK-TICKの方が先であるし、BOOWY直系の後輩だしで、バクチクの方がビジュアル系ロックバンドの元祖であり、X JAPANはサウンドがメタル寄りなので日本独自の歌謡風味なビジュアル系サウンドとは異なる為、バクチクの特にこの曲こそがビジュアル系音楽の走りだと言える。

LUNASEA/ROSIER (94)
バクチクとエックスの2大巨頭で築いた90年代前半のビジュアルロックシーンの中、次に続く熾烈な三番手争いから頭ひとつ抜け出たのがルナシーだろう。
このロージアのブレイクによりビジュアル系バンドの型が決まり、ボーカルが髪を切ると売れるという神話の先駆となる。(GLAYラルクしかり)
楽曲はこちらもPV共々完璧で、BPM速めのサビ高音で聴く者を高揚させるトリガー発動させまくり。
LUNASEAの代表曲にして90年代を代表するビジュアル系音楽の頂点に位置する楽曲。
黒夢/Miss MOON LIGHT (95)
それまでダークな世界観が強すぎてメジャーになりきれなかった黒夢が元々アレンジを手掛けていた佐久間正英をプロデューサーに起用して、狙い通りにポップな売れ線に仕上げてメジャーシーンに躍り出た出世作。
後のGLAYの作風とほぼ同じ佐久間イズム全開であり、BOOWYも手掛けていた事を考えたらもはやビジュアル系サウンドの生みの親は佐久間正英なのかもしれない。
SHAZNA/Melty Love (97)
IZAMの完璧すぎる女装スタイルでビジュアル系として華々しくすぐ売れたものの、やはり支えるファンはほとんどが女性である為、見た目の美しさだけでは人気を長くは保てなかった。
とはいえ楽曲的には悪くなく、ニューウェイブ色も織り交ぜて進化を遂げていた。
ただデビュー曲があまりに鮮烈に売れてしまった為、一発屋の印象なのが残念。
人気のピーク時にIZAMが吉川ひなのと結婚→破局したのも大きくマイナス要因。
PIERROT/ハルカ‥ (99)
そこまで売れてないがピエロの代表曲でもあり、ビジュロックのお手本のようなサビは秀逸。
バンドとしてはメジャーになりきれなかったPIERROTであるが、楽曲はどのバンドよりもビジュアル系歌謡ロックの基本を押さえていたと思われる。
その他の曲のタイトルもいちいちビジュアル系らしい中二病が発動していて、メジャーファーストアルバム「FINALE」こそ究極のビジュアルバムに認定したい。
ビジュアル系ロックの最高峰はペニシリンのロマンスで決まりでしょう!
PENICILLIN/ロマンス (98)
個人的に大好きな一曲でカラオケでもよく唄いました。
「マサルさん」効果で根強く耳にする機会も多かった曲ではありますが、やはりサビ始まりの怒涛の展開とボーカルの悶絶具合にビジュアル系の全要素が詰まってます。
ペニシリンは見た目も華があり、もっと売れると思ったんだけどなぁ‥。
というわけで大賞はペニシリンのロマンスに決定です。
やっぱりこの曲は今聴いても心が躍るし身体が疼きます。
過小評価されてるけど、もっと名曲として扱うべきです!
自分の葬式でかけたいぐらいですからw
まとめ
個人的に刺さり且つ一般的に浸透した楽曲を挙げてみました。
まだまだ掘り下げればいっぱいあるでしょう。
ビジュアル系ロック音楽は日本が生んだひとつの文化です。
カッコ良さとはダサさが肝となりうるのです。
見た目は中性的でありながら、獰猛で肉食な衝動を隠せないオスの性をナルシスティックに音で表現する圧倒的なカルチャーショックに五感を刺激してみてはいかが?
1.PENICILLIN/Ultimate Velocity
2.PIERROT/FINALE
3.GLAY/BEAT out!