名作ドラマ「北の国から」は数年おきのスペシャル版こそ20年以上前にほぼ観賞しましたが、最初の2クールテレビシリーズは見る機会がなかったので今回初めて再放送で見る事ができました。
そこで初見の者から見た感想を改めて記しておこうと思います。
吉岡秀隆こと純に感情移入できるかどうか
もうこのドラマは完全に純のモノローグによる純視点の物語ですから、純に感情移入できるかどうかが全てになります。
つまりクレジットこそ田中邦衛がトップ表記であるが、主役は子役の吉岡秀隆と認識して良いと思われます。
これは純の心身の成長物語であり、五郎さんはクセの強い個性的な父親という立ち位置です。
北海道・富良野VS東京という地の対比もひとつの背景描写になってます。
田中邦衛のレジェンド俳優ぶりを愉しめ!
とんねるずの石橋がパロディコントでモノマネしたり、他にもかなりモノマネの題材として笑い者にされてきた田中邦衛さんですが、あの個性的な顔と口ぶりは真似したくもなるというものです。
特段変でもないのですが、フラットな状態がなんか味わい深いのです。
変な顔ではあるのですが、馴染んでくると愛着がわいてくる顔なんでしょうね。
ただ喋りが本当に聞き取りにくいです。なんて言ってるのか判らなくて巻き戻して聞き返す事が何度もありました。
古い作品ということもあり、音量も大きくしておくことを推奨します。
クズな大人たちに純が翻弄され続けるドラマ
子供に厳しい社会です。
この時代まだまだ大人が子供に対して上から目線で威張ってます。
子供は子供扱いで、大人は子供を気にせず自由に動いてます。
まず一番クソだなと思ったのが草太の父親(大滝秀治)が、悩んだ末に東京に帰ろうとする純に向かって「お前は逃げて裏切ったんだということを忘れるな」と言い放つ場面。
結局これが幼い純の心に刺さってしまい、引き返すことになります。
もしこんな強い言葉で非難されなければ純は東京で母親と過ごすルートもあったのだと思うと、この分岐点は絶大なる不幸への道しるべであったと言えます。
純は最初から東京と母を選ぶべきだったよね
上に続きますが、純は最初から東京と母親の方を気に入っていたわけで、富良野と父親についていくというのは純の意思ではなく流れで連れてこられたようなものです。
母親の方も純が残ってくれたら心理的にも病症の悪化を遅めることができたかもしれません。
単純に純に合ってるのも、純が幸せに暮らすのも、東京の圧勝ということです。
東京にいれば勉強が遅れる事もなく、流行り物に乗り遅れる事もなく、好きな女の子とも一緒にいられて何もかもハッピーだったことでしょう。
なにより母の再婚を視野に入れた恋人・吉野(伊丹十三)を純は意外にも嫌いじゃないと感じていたのですからね。
吉野には父にはないインテリさと草太兄にはないスタイリッシュさがあったからでしょう。
純がなりたいと思う大人像は、父や草太兄よりも吉野がイメージに近かったのでしょうね。
草太(岩城滉一)はバカだから‥
反町隆史に明石家さんま風味を加えた当時の岩城滉一がはまり役です。
ことごとくバカっぽくて憎めないキャラではあり、それでいて外見的にはワイルドです。
恋人つららを捨てて雪子に走ってしまい村中総スカンを喰らいますが、若い男のどうしようもなく正直な恋心を責められるものではないでしょう。
所々で純や蛍に助け舟を出すあたり非常に良いお兄ちゃんポジとして機能してます。
近くにこんな存在がいたら結構頼もしいんじゃないでしょうか。
おばさん(竹下景子)が邪魔!なんでいるの?
この物語の中で一番存在する意味が不可解なのが雪子おばさん(竹下景子)です。
彼女は純や蛍の母親(いしだあゆみ)の妹であり、なぜか黒板一家の世話係をかって出ます。
個人的な失恋などの事情があるとはいえ、普通に考えて違和感しかありません。
草太を狂わせてつららが出て行ってしまうし、そもそも彼女がいなかったら五郎さんは男手ひとつでどこまで純と蛍の世話ができたのか、かなり難しかったと思われます。
つまり都合よくおばさんが介入したお陰で、黒板家の暮らしはなんとかなってしまったわけで、結果的に純の東京行きを阻み鈍らせる存在になったということです。
作品のキーパーソンではあるのですが、リアリティを欠く存在で個人的には嫌いです。
先生(原田美枝子)が美人過ぎて驚く
作中で一番の美人(イイ女)は雪子おばさんとされていますが、どう見ても先生の勝ちです。
この時代にして今でも通用する顔立ちでとにかく美しいですが、そのへんあんまり作中ではチヤホヤされていない事に違和感を覚える程です。
だったらもう少し地味なおばさんをキャスティングした方がよかったんじゃないか?
そのくらいこの先生の綺麗すぎるルックスは物語に関係ない故に邪魔をします。
草太がこの先生に惚れないのが違和感です。
ただこの女優さんは年をとると全く当時の面影を失くしてしまう程変わってしまわれたみたいなので、やはり美しすぎる期間というのは短くて儚いものなのでしょう。
現代なら五郎さん絶対親権取れないよね‥
当時でも珍しい妻側の不倫不貞行為による父と子の離婚連れ去りという形で、そもそもなかなかないパターンの離婚劇なのですが、これ現代なら母親側が弁護士まで立ててたらあっさり強制的に子供を東京に連れ戻せますよね。
令子は自分の非を認めてるだけに強気に出られなかったのかもしれませんが、一般的な母親なら小学校低学年の子供二人を、遠くの北海道に連れていかれたら気が狂うでしょう。
裏切った妻を許せなかった五郎の気持ちは解るのですが、田舎の自給自足の生活に子供を巻き込むというのはどうなんでしょうね。
自然に触れあえて最高な環境であると洗脳していきますが、都会っ子の純は馴染めなかったし、それでいて自身は飲み屋の女にうつつを抜かすしで、それほど素晴らしい父親というわけでもなく、欠点もいくつかある等身大のおっさんと言えるのかもしれません。
令子は病気で若くして亡くなってしまう為、結果的には純は北海道で正解だったのかもしれませんが、お母さんを看取った後で吉野と血の繋がらないながらも二人で生活する中高時代と言うのもそれはそれでドラマになったかもしれませんし、もしくはそこから富良野に行っても全然OKだったとも思われます。
一番良かったのは第13回14回の純の東京編
テレビシリーズを完走してみた感想としましては、後のスペシャル版の方がどんどん面白くなっていってるような気もするので、つまり連続ドラマ版は名作のプロローグであり、後に制作されていくスペシャル版の方が今となっては本編であるという認識でいいような気もします。
テレビドラマシリーズの見どころといたしましては、中盤の13.14回の純の東京編が圧倒的に面白くて、この部分が大きなターニングポイントであり、純の迷いと心の機微の描写がいちいち秀逸で、作品の核となる部分が集約されているように思いました。
なのでこの2回と靴の最終回はHDDに永久保存決定です。
子役としての吉岡秀隆が素晴らしすぎる
結局さだまさしの音楽による効果がでかい
北海道(富良野)の映像美に騙されるな!