氷河期世代が中高時代に聴いた女性ソロボーカルと言えば、もう圧倒的ナンバーワンが渡辺美里だと断言しちゃっていいんじゃないでしょうか。
そりゃ他にも中村あゆみとか浜田麻里とか小比類巻かほるとか永井真理子とか挙げればキリがありませんけれど、楽曲のキャッチーさと人気面において明らかに美里が頭ひとつ抜けていました。
今となっては渡辺美里も「My Revolution」の一発屋歌手と思われがちですが、当時はこの曲を皮切りに出す曲はそこそこチャート上位に入っていましたし、アルバムは93年の「BIG WAVE」まで8年(8枚)連続で出せば1位の記録を樹立していた程のアルバムアーティストでもあったのです。
小室哲哉ファンの私は渡辺美里の「TK WORKS BEST」なるものを自分でMDに編集して録音していたので、今回はそれを曲順ずつに紹介していきたいと思います。
小室哲哉が作曲した渡辺美里の神曲リスト
01.My Revolution
やっぱり当然一曲目はこれしかないですよね。
美里&小室の代名詞というか、問答無用の代表曲ですからね。
まだTM NETWORKとしてもブレイク前で試行錯誤していた時期の小室哲哉と、デビュー二年目の19歳の渡辺美里によるタッグで、タイアップはTBSのドラマ主題歌としてヒット。
もちろん作詞の川村真澄と編曲の大村雅朗の貢献度も高いのだが、世間的には小室哲哉の出世作として大きく認知された。
いつになく謙虚にこの曲のヒットに関して小室はアレンジャーの手腕を称えていたが、同じくらいに詩の部分(タイトル含めて)も大きな要因であったかと。
時代を超越したスタンダードな名曲といえるだろう。
02.天使にかまれる
アルバム「Lovin’you」でも2曲目に収録されていたので、この曲は2番バッターのイメージが強いのです。だから2曲目。
美里がつけたこの一見意味不明なタイトル、インパクトあって嫌いじゃないです。
アレンジも小室が手を加えていることからイントロから全篇通してTK色が特に濃く、アンニュイな雰囲気ながらもカッコイイ仕上がり。
アルバム前半に必要な秀逸な佳曲。
03.そばにいるよ
稀少なバラード曲。
ギターソロの泣きメロが最高にエモい。
美里の歌声も幼さが残っていて初期曲の良さが集約されている。
04.Believe
美里×小室曲で個人的に一番好きな歌。
イントロの鍵盤後すぐに始まる冒頭フレーズ「朝一番のホームの冷えた静けさが好きさ」がたまらん!!
メロディを紡ぐ音符の一つ一つが丁寧で、美里のボーカルが映えまくり。
もっとこの曲をテレビで唄えばいいのにと思う。
05.悲しいね
初めて編曲までを小室が一任して手掛けた、まさに小室プロデュースの走り曲。
ウィンターソングとしての趣があり、心の琴線に触れる情緒がある。
後半のサビ畳み掛けはどんどん高揚してスパークしそうな感情を歌に乗せて体現することでボーカリスト渡辺美里の本領を存分に発揮し、その力強さを証明してみせることに成功させた。
06.ムーンライトダンス
小室が作る美里の新曲を期待される中で生み出された、いかにもな小室節ナンバー。
当時期待値が高すぎた為、曲自体キャッチーさに欠けていて少々外したきらいはあったが、今聴くとバリバリの小室サウンドが何週も廻った上で心地よい。
07.Power-明日の子供―
アルバム「Tokyo」のリード曲。
これも一聴しただけで小室さんだ!と判る。
重厚なサウンドと言えば響きは良いが、80年代までのエモさがなくなり、やっつけ感が否めない。
08.Tokyo
当時TM NETWORKがTMNにリニューアルする直前で、小室氏がプログレハードロック志向を強めていた時期であった為、その影響がモロに表れたアルバムタイトルチューン。
ウツが唄ってTMNのアルバムに入っていても違和感がなさそうな楽曲でもある。
09.卒業
渾身の卒業ソングだが、これは学校の卒業ではなく、「卒業できない恋もある」と唄っているので、厳密には卒業ソングではない。
壮大な楽曲に仕上がっており、もっと評価されてもいいのにと思う。
「悲しいね」の路線ではあるが、あっちは雪で寒々しいのに対し、こっちは桜で春だからなんとなく前向きな歌なのかと思いきや全然そうでもなくて、実らない告れない永遠の片恋が瑞々しく描写されていて、ひたすら切なくてニガくてでも清々しい‥これぞまさに名曲です。
10.JUMP
アルバム「Lucky」収録曲でシングルではないが、本気で良曲を提供する小室のプライドが垣間見える。
おそらく小室氏は美里のアルバムはいつも作曲家たちのバトルフィールドと捉えていて、「この人の作った曲がこのアルバムで一番良いよね!」と言われたいがために真剣に愛される楽曲を制作して提供しているんだろうなという純粋な下心が感じられるのです。
11.青空
セルフカバーアルバム「HELLO LOVERS」は、過去の曲をリミックスして集めた初期ベスト盤のような内容であったが、その中で唯一アルバムの為の書き下ろし曲として新たに小室氏が提供した楽曲。
「JUMP」の流れを汲むしっとりとしたメロウな良曲。
ここまでだいぶ自身で作詞を手掛けてきた美里であるが、小室楽曲に一際気合の籠った良い詞を当て嵌めているなと気付かされるのです。
美里は小室の曲に一番真面目に丁寧に詩を書いている。間違いない。
12.I Wish
アルバム「Baby Faith」のラストに収録された、美里への小室提供曲の最後の曲でもある。
小室が中学生の頃に初めて書き上げたオリジナル曲であるとライナーノーツで見たが、他にもいくつかそのようなエピソードで語られる曲が存在するので、その幾つかの曲の中のひとつではあるのだろう。
13.This Moment
セカンドダブルアルバム「Lovin’you」収録のポップチューン。
まだ美里のカラーが確立される前だけに、初々しくもあるが違和感も否めない。
アレンジも古臭く、小室らしさもあまり出ていない。
当落線上でギリギリで入った曲ですw(わざわざ言わなくていいか)
14.Teenage Walk
「マイレボ」の後に続けてシングルリリースされたが、こちらはファンに根強い人気の隠れた名曲。
やはり十代の美里の歌声は澄んでいて、清らかさというか清潔感があるんですね。
初見だとミディアムナンバーで地味な印象を受けますが、ギターが効いていて実はロックテイストなんですよね。
サビでしっとりする感じなのも異質で叙情的でクセになる中毒性を持ち合わせている。
15.きみに会えて
ファーストアルバム「eyes」収録の名バラード。
初々しすぎるMVは必見 ↓
神沢礼江の詞と清水信之のアレンジ共々素晴らしく、三位一体となって作り上げられた見事なエモーショナルソング。
デビューアルバムにして既に完成されていた美里ボーカルではありましたが、この曲に限りどこか透明感があって素朴な歌い方で柔らかくてあどけないんですよ!
「誰かが君を愛しているよ、ひとりっきりじゃないよ」
後に小室が自身のアルバムでセルフカバー。
1. ribbon (88)
2. Lovin’ you (86)
3. eyes (85)
結局初期の昭和60年代に集約されちゃいますね‥
↓ 4枚組ベスト盤。オールA面シングルス。