アニメ「キャプテン翼」のリメイク版が2018年に4クール(1年)かけて放映されたが、その続編となるジュニアユース編がこの秋4年半ぶりに放映開始となる。
前回は深夜放送だったが今回は日曜日の夕方枠(17時)という事で、これは大正解です。
せっかくの名作サッカーアニメも深夜では見てほしい子供に見てもらえませんからね。
40代の元少年おじさんのノスタルジーの為に作ってるはずがないのですから!
「キャプテン翼」は子供(少年)が見てなんぼです!!
そして将来の日本代表をワールドカップで優勝に導くのです!!!
キャプテン翼が他のサッカー漫画と別格である理由
サッカー漫画は他にもいくつも世に存在しますが、結局この「キャプ翼」を越える人気作品は現れなかったどころか、2番手すら思い浮かばない程に圧倒的にサッカー漫画といえば「キャプテン翼」一択なんですね。
これは当作品が週刊少年ジャンプ発で、80年初頭というまだサッカーが市民権を獲得する前の時代に産まれたパイオニア的作品であったという部分もあるとはいえ、40年経ってもこれより面白い爽快なサッカー漫画が登場しなかったという事実からも、誰も異論のない名作であると認定できるでしょう。
一方野球漫画だとどれがナンバーワンか決められるはずもないくらいに割れるわけです。
巨人の星、ドカベン、キャプテン、タッチ、メジャー…人それぞれとなるでしょう。
王者無双主人公にライバル達が挑む逆転のシナリオ
王道の少年漫画というのはだいたいが全てにおいて優位で恵まれているライバルに立ち向かう努力型の主人公という構図なのに対して、この「キャプテン翼」は逆に主人公の翼が天才肌で、敵のライバルたちが挑戦しにくるという展開が新しくもありました。
その為主人公の翼よりもライバルの方が魅力的に見えて肩入れする読者視聴者も少なくなく、でもそれによって複数のキャラ人気で作品がより推され、商業的な大成功にも繋がったと言えます。
若林源三
翼と一番最初に相対する宿命のライバル。
ゴールキーパーとして鉄壁すぎるが故、作中では大幅に出番が削られてしまう。
性格はジャイアンで財力はスネ夫という嫌われ者要素しかないキャラクターで、人気があるとは思えないのだが、何故か人気投票では上位常連。きっと操作されているに違いない。
ペナルティエリア外からのシュートは必ず止めるというのが彼の強味だが、今考えるとそれほど凄くもないというか「へ~~」だよな。
日向小次郎
小中時代の翼の最大の宿敵ストライカー。
翼が柔なら日向は剛のタイプのストライカーということ。
気性が激しく独りよがりな暴君で、彼も性格的に難アリであるが、母子家庭で下に三人の弟妹がいる長男で、小学生からバイトしてる苦労人というバックボーンにより、チームメイトからは「キャプテン」とリスペクトされている。
彼がチームで唯一認めた相棒が二学年下のタケシというのも面白い。
トレードマークは袖を肩までまくり上げたスタイルで、鍛え上げられたフィジカルの強さが男女共々支持される理由はよく解る。
三杉淳
小学生時代に翼を最も絶望させた天才プレイヤー、フィールドの貴公子。
心臓病である事から少しの時間しか試合に出場できないというハンデ付き。
知性と財力と甘いマスクで小学生にしてファンクラブが存在するガラスのエース。
このタイプのライバルもスポ根漫画にはよくあるが、やはり心臓病というハンデはキャラクター魅力としては強力で、「淳、負けないで!」とマネージャーの青葉弥生視点から応援したくなります。
難しいオフサイドトラップのルールを全国民に教えた偉人でもある。
松山光
クセモノ(天才)だらけのライバル達の中で、これといった特長もなく泥臭い精神力だけで勝ち上がる凡人努力型タイプだが、この作品世界ではそれがかえって珍しくてさわやかさに輪をかける。
「キン肉マン」でいう所のブロッケンJrのような位置づけで、女性人気が高いのも頷ける。
全日本ジュニアユースでは翼不在の序盤ではキャプテンに任命される。
岬太郎
ダントツ人気ナンバーワンキャラクター。
翼とコンビを組む相方であるが、我を通さず誰にも合わせられる柔軟な性格とプレイスタイルのテクニシャン。
放浪画家の父親と二人きりで旅をしながら各地を転々とする根無し草的バックボーンも同情を誘うが、とにかく顔つきと性格が登場人物の誰よりも優しくて癒されるんですね。
しかし人気がありながらも彼もまた若林同様に味方だと無双してしまう危険因子である為に出番が大幅に削られてしまう。残念だが仕方ないか。
小学生編ベストバウト
南葛VS武蔵(準決勝)
途中から降る雨の準決勝という演出も良い。
武蔵のマネージャー青葉弥生が幼馴染の翼に三杉の秘密を告げて「翼くんお願い負けて!」と頼むところや、それに気付いた三杉が弥生をビンタするシーンとか、弥生にムカムカするあねごとか珍しく女キャラが絡むのが新鮮で「タッチ」みたいで面白い。
なんといっても三杉の華麗なプレイに打ちのめされて負けそうになる翼を初めて拝めるのと、終盤立ったまま死んでしまうんじゃないかという三杉の危うさにドキドキさせられる。
本来の力が出せない翼を支えて鼓舞する岬の存在もひと際力強い。
この試合岬きゅんがいなかったら南葛が負けている。
ゴールデンコンビはやっぱりズルいです。
南葛VS修哲(対抗試合)
作中で一番最初のゲームとなるが、なかなかの名試合。
翼が前半はスイーパーのポジションでプレイするというのも面白いし、リアルジャパンを先取りした修哲の鳥かご、点を取られていじけて帰りそうになる若林が見上に叱られて切り替えるところや、延長線から岬が飛び入り参加してくるのも対抗試合ならではの緩さとワクワク感、引き分けで終わるさわやかな幕切れ‥。
最初の試合にしてサッカー漫画の面白さが全部詰まっている。
南葛VS花輪(予選最終)
立花兄弟もまた漫画的で面白いキャラクターですね。
双子による息の合った空中サッカーでキリキリ舞いさせます。
トライアングルシュートよりはスカイラブハリケーンですが、小学生編の試合の方が面白い理由は石崎の大チョンボがあるからですね。
作中でオウンゴールを決めてしまうのは石崎だけですw
そしてこの時の岬きゅんの「仲間割れはやめようよ!」の対応に、全読者が岬ファンになったよね。
南葛VS島田小(県大会)
こちらも雨の準決勝。
完全に格下相手で舐めプする主人公チームがモブの弱小チームに足許をすくわれてしまう展開が面白い。
しかし南葛SC選抜の層の厚さが改めて浮き彫りとなる。油断さえしなきゃ強すぎる‥。
明和VSふらの(準決勝)
南葛以外のライバル同士の対決。
試合前に食堂で揉めた因縁のある日向と松山の対決。
日向は体調不調で明和が絶体絶命のピンチに追い込まれるが、そこで登場するのが空手キーパー若島津で、見事PKを止めるというドラマチック展開がムネアツ。
中学生編ベストバウト
南葛VS比良戸(準々決勝)
肩と脚の怪我でボロボロの翼VS巨漢DF次藤。
前半終了時に0対3という絶望的なスコアからの逆転勝利。
そしてドライブシュートの完成。
万全でない翼をカバーして修哲トリオが点を決めるのも良い。
テクニシャンFW佐野の身軽なプレイスタイルがわりと好き。
東邦VS武蔵(都大会決勝)
東京都大会決勝で日向VS三杉の対決が実現!
名門東邦に入りすっかり獰猛さとハングリーさを失ってしまっていた日向小次郎。
相変わらず試合には十数分しか出場できない三杉であったが、大会ナンバーワンキーパー若島津から華麗にゴールを奪う。
エース同士の直接対決も三杉に軍配。
試合には勝ったが試合中に三杉の心臓を気遣ってしまった甘さからボールを奪われてしまった小次郎に対し、かつての恩師・吉良監督から「今のお前は牙の抜けた虎じゃ!」と吐き捨てられ、自身を省みる小次郎の葛藤がみどころ。
南葛VS大友(県大会決勝)
静岡県大会決勝。
かつて南葛SC選抜チームで共にプレーした浦部らが、一年生ストライカー新田瞬を加えて翼たちに果敢に闘志を燃やす大友カルテットとの決戦前の地元のやり取りがみどころ。
負けた方が勝った方の言う事を何でも聞くという賭けをした石崎と浦辺。
結果勝利した石崎は腹を括った浦辺に対して「じゃあ全国大会に行く俺達南葛をずっと応援してくれよ」と言うシーンはホロッとくる。
その後は観客席から南葛応援団長の横で大声援を送り続ける浦辺達だった。
東邦VS明和東(準決勝)
こちらも小学時代に共に闘ったかつてのチームメイト同士の対決。
タケシ&若島津VSそれ以外の明和モブ軍w
日向が欠場していることで試合は拮抗。
なんと大会無失点記録を継続していた若島津から明和軍が全員攻撃で先取点を奪う。
先輩陣に気後れするタケシの動揺と成長がみどころ。
フィールド外での北詰監督と日向の確執もリアルなドロドロ感があって良い。
南葛VS東邦(決勝)
三度目の翼VS日向の対決。(実際は5回目)
結果は同点引き分けの同時優勝という幕切れとなったが、作者は当初主人公補正で南葛の優勝を考えていたが、読者からのレターで小次郎に勝たせてあげてという要望が多く、岬と若林を欠いた上に体調の優れない翼率いる南葛に対し、万全の小次郎に若島津とタケシの居る東邦であれば負けるはずもなく、でも主人公翼を負けなしでブラジルに発たせる為には同時優勝しかなかったというのも納得の結果だろう。
試合も長いし個人的にはこの対決は飽き飽きなんだけどね。
ジュニアユース編は地上波初
80年代リアタイ当時、東映まんが祭りというジャンプ3作品同時上映のアニメ映画では、ヨーロッパ遠征編をいち早くスクリーンで上映していて、小学生ながらシュナイダーのカッコ良さに惚れ惚れしたものです。
アジア人よりも白い白人の肌色がちゃんと表現されていて、白人って綺麗なんだな‥と子供心にアジアンコンプレックスを刺激されたものですw
ジュニアユース編はOVA(オリジナルビデオアニメ)で最後まで一応アニメ化はされていて、毎週放送のテレビシリーズではないので作画も安定していてクオリティも高かったんですけど、なにせたったの13話での駆け足収録だったので、原作コミック13巻分をまとめるにはさすがに無理がありすぎて、不完全な仕上がりでとても評価できる内容ではなかった。
なので今回のアニメ化では少なくとも2クール(26話)、もしかすると4クール(52話)も期待できるので、じっくり丁寧に描いてくれると思うとムネアツですね。
このジュニアユース編をやる為に、5年前の前回小中学生編を圧縮した形で4クール52話でリメイクしなおしたといっても過言ではないでしょう。
ジュニアユース編の見所は?
見所はなんといっても小中時代のライバル達がチームメイトになって日の丸を背負ってサッカー先進国の強敵と戦う展開でしょう。
個人的にはこの肩にラインの入った全日本のユニフォームが好きだったので、原作どおりに変更せずに採用されたのも一安心です。
多分不良の神田君は出ないでしょうが、ピエールやシュナイダーの暗い過去はしっかり描いてほしいと思います。
実は私も漫画は中学生編の決勝までで読むのをやめてしまっていたので、ジュニアユース編はそんなにちゃんと全部は知らないので楽しみなんですよ。
ファミコンのゲームの「キャプテン翼Ⅱ」のシナリオが良すぎてこっちが正史であると長らく補完していたので、真の原作に忠実なトゥルーエンドを見届けたいと思います。
翼はFWの方が良い
この作品はDF軽視が過ぎる
その後のプロ編とかの続編は蛇足