アイドル戦国時代である80年代の中において、トップクイーンを一人選ぶとすれば、それはもう満場一致で松田聖子なのではないか。
そりゃあ中森明菜を推す人もいるだろうけれど、それは個人的な思いが含まれてるのであって、公正な視点で客観的に判断を下せば、松田聖子で異論はないはずである。
個人的には河合奈保子推しですよ?
松田聖子なんて山口百恵と同じくらいにブスだと思っていたし、当時も今も性悪ブリッ子であることに変わりはないのだけど(ブレてないからすごい!)、それでも声の伸びが圧倒的且つ気持ちの良い歌唱力で、出す曲全てがキャッチーでハズレなしなんだから、「歌」だけに焦点を当てた場合、数字も含めて無敵なわけです。
80年代の聖子の歌は全部名曲なんですが、個人的なレビューを書かせて頂きます。
松田聖子のシングルベスト
渚のバルコニー
ユーミン作曲の夏うた。
松田聖子で一番好きな曲は何?と問われたら迷うけどこれになるかな。
聖子自身もすごく好きな曲だと公言していて、リスナー人気も高い。
松本隆の作詞家としての力量フルボッキといったところでしょうか。
最初から最後まで聴き惚れちゃうのですが、特にアウトロが秀逸かと。
大昔(83年)のコンサートでこの曲を唄ってる最中に客がステージに上がってきて、頭部を鉄パイプで6回殴られたことがトラウマとなり、しばらくこの曲をコンサートで歌えなくなったこともあるが、時を経て克服された。
天使のウィンク
尾崎亜美作詞作曲のポップチューン。
これまで継続してきた松本隆を外して丸々一曲のプロデュースを尾崎亜美に一任したこれまでにない新機軸であったが、ふたを開けてみたらThis is 松田聖子といった違和感ゼロの完璧な仕上がりで、もっと尾崎亜美にはその後も関与してほしかった。
もっとも松田聖子らしい曲というか、聖子の良さが全部詰まってる。
瞳はダイアモンド
ユーミン作曲の秋冬ミディアムバラード。
サビの高揚感が素晴らしすぎる。
こんな名曲なら誰が歌っても人気が出そうなものだが、やはり聖子のボーカルが際立ってるからであり、他のアイドルでは歌いこなせない境地でもあるのだ。
野ばらのエチュード
財津和夫作曲の秋のミディアムナンバー。
トゥルリラ~トゥルリラ~♪ですよ。
これ地味な扱いですけど個人的に大好きです。
小学生時代の嫌だった頃の気持ちが甦るのです、何故か。
時間の国のアリス
ユーミン作曲のアップテンポな極上ポップス。
聖子のピンクファンタジーな世界観を決定づけたよどみないアイドルソング。
チェリーブラッサム
財津和夫作曲のデビュー二年目幕開けの4枚目。
これからいろんなことが始まる!って感じでテンション上がる曲。
81年は「夏の扉」「白いパラソル」「風立ちぬ」とどれも甲乙つけがたい名曲揃い。
松田聖子の隠れた名曲たち
時間旅行
SEIKO作曲のアルバム「SUPUREME」収録曲。
「canary」もそうだが松田聖子は意外と作曲能力があり、この「時間旅行」は数いる名作曲家たちをおさえて一番好きなバラードだ。
ストリングスと別離を描いたセンチメンタルな詩世界も相まって、同じアルバム収録曲の「瑠璃色の地球」と甲乙つけ難いが、あっちは壮大すぎるきらいがあるので、こっちの方がリアルで情景がしっくりくるのです。
これもやはり松本隆の詩が素晴らしく、もし聖子が詩も書いていたらと思うとゾッとする。
聖子は残念ながら詩作の能力はない。
でも作曲能力はもっと評価されていい。
Pearl-White Eve
大江千里作曲のクリスマスバラード。
シングルだが取り上げられることがほとんどない曲なのでこちらにランク。
理由としては当時の歌番組でこの曲を披露する出演機会がなく、映像が少ないからだろう。
当方アイマスの如月千早のカバーを聴いて再燃再評価したのは内緒である。
Kimono Beat
小室哲哉作曲のアルバム収録曲。
やはり松本隆の詩はいいな。
詳細はこっちで↓
Precious Heart
奥居香作曲でシングル連続1位記録を途絶えさせた平成でのファーストシングル。
奥居と言えばこの平成元年に「Diamonds」で年間1位に輝いたプリプリの全盛期にあたるわけで、楽曲も奥居らしいメロディアスなロックで決して曲のせいではなく、聖子の時代が終わったという事なのだろう。
詩も松本じゃなくて聖子本人だしね。
レモネードの夏
ユーミン作曲の渚のバルコニーのB面曲。
アルバム「パイナップル」がベストオブベストと評される中で、この曲が決め手のアクセントとなっている気がしてならない。
B面ベストといえば「制服」であるが、この「レモネード」も根強い人気がある。
やはりこれも松本隆の詩が感傷的で、ポップなメロディに聖子のボーカルが合わさると心地いいのです。
ウィンター・ガーデン
小田裕一郎作曲のセカンドアルバム収録曲。
同タイトルのOVA(アニメ)で知ったのですが、ホントに隠れ曲ですね。
「あっなったっを愛し~て~二度目ぇの~ふ・ゆ・で・す♪」
三浦徳子作詞で、松本隆が関わる前なのですが、すでに聖子の世界観はこの頃に確立されていたということになります。
ここまで松本をべた褒めしてきましたが、構築したのは三浦&小田コンビなんだということを我々は忘れてはならないのです。
聖子自身も当時セカンドアルバムの中でこの曲が一番のお気に入りと公言。
松田聖子の代表曲
赤いスイートピー
ユーミン作曲の一発目。
聖子ちゃんカットをやめてバッサリショートにしたのもこの曲から。
聖子の代表曲を一曲あげろと言われたら、やはりこれになるんじゃないでしょうか。
昭和歌謡全部の中でも、同じ松本隆作詞の「木綿のハンカチーフ」と双璧の最強アイドルポップスなんじゃないでしょうか。
SWEET MEMORIES
大村雅朗作曲のガラスの林檎のB面曲。
サントリーのペンギンのCF曲としてあまりにも有名であり、アダルトな新境地を見せたジャズ歌謡という唯一無二の名曲。
2番の歌詞が英詩というのが洒落てるし、おばさんならもれなく全員夜のバーでこれを唄って陶酔したいものでしょう。
青い珊瑚礁
三浦徳子&小田裕一郎によるセカンドシングル。
この曲でブレイクしただけに、やはり初々しかった頃の松田聖子のはじまりといえばこの曲であり、すでに完成された伸びやかなボーカルが伝説の序章を告げる。
松田聖子の嫌いな曲シングルワースト5(80年代限定)
Marrakech~マラケッシュ
これまでの王道アイドルポップス路線から完全に逸脱した新たな洋風カラーに挑んだ聖子の終わりの始まりと位置付けられるターニングポイント的なシングル。
R&Bテイストで時代を先取りしていたが、個人的にブラックな香りが苦手です。
素直に「抱いて…」の方をシングルリリースすべきだったんじゃないかなぁ?
DANCING SHOES(Club Mix)
後のマラケッシュで組むこととなるスティーヴとポールに委託し、海外進出を謀った活動休止前の聖子第一期ラストシングル。
全編英詩のダンスミュージック。こんな聖子は当時から誰も求めてない。
旅立ちはフリージア
Seiko作詞でタケカワユキヒデ作曲の王道ポップスだが、海外進出に失敗してからの原点回帰に出戻ってきた感じが表れてしまっていて安っぽく感じてしまう。
これがまだ松本隆の詩だったら違っていたのかなぁ?
ボーイの季節
「天使のウィンク」で結果を出した尾崎亜美第二弾は一転してバラードで勝負に出たが、やはり難しかったかここでいっきに聖子ブランドに陰りが見え始める。
これまでの世界観からかなり離れた曲タイトルも良くない。
小麦色のマーメイド
「スイートピー」「バルコニー」に続くユーミン第三弾は夏の終わりを思わせるメロウな佳作ではあるのだが、絶頂期の中のインターバル的な休息感もあり、人気曲ではあるのだが個人的には✖。
サビは最高なんだけどそれ以外は退屈で好きじゃない。
総括
80年代でも結婚出産前後以降の後期で占めてますね‥。
つまりは84年までのデビューから5年間はハズレ無しのヒットメドレーということです。
5位のマーメイドも悩んだ末であり、厳密には嫌いではない。
因みに当時松田聖子本人がリリース前に嫌いだったシングル曲は「チェリーブラッサム」だそうです。意外ですねぇ~!!
松田聖子のベストアルバムは?
今から松田聖子をじっくり聴いてみたいけど、アルバムいっぱいありすぎてどれから手を付けていいかわからないという人もおられるでしょう。
ベストアルバムもいっぱい出てるし、収録曲も微妙に違うので迷います。
そんなあなたにオススメするのは4枚組のベストアルバム「Diamond Bible」です!
もうこれだけで充分です!
迷わずこれを購入しましょう。保証します。
近年ではこれなんか良かったですね↓
松田聖子 – 「惑星になりたい」視聴動画 (作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(松任谷由実)、アレンジ:中田ヤスタカ(CAPSULE))
愛娘の神田沙也加を想う歌
追記です。
聖子さんにとって最愛の一人娘である神田沙也加さんがお亡くなりになりました。
彼女を想って書いた楽曲である「私だけの天使~Angel~」(97)はもう生歌で聴くことはできないでしょう。
アルバム「bless you」(06)の同名タイトルチューンである「bless you」は19歳の沙也加が作詞作曲を手掛けた歌で、当時聖子は非常に娘の作曲センスを褒めたそうです。
「涙がただこぼれるだけ」(07)も本当にこぼれてしまうのでもう当分聴けないでしょう。
しばらく無理かもしれないけれど、彼女にはこれからもキラキラなポップチューンを唄ってほしいです。
80年~87年の松田聖子楽曲にハズレなし!
松田聖子はアイドルというよりボーカリスト
松田聖子を聴くなら「Diamond Bible」一択