80年代回顧録

氷室京介ROXYの歌詞が尾崎豊15の夜と紙一重の件

尾崎豊の「15の夜」のサビ「盗んだバイクで走り出す~♪」に対して「人のバイクを盗むなんてとんでもない!」と歌詞につっこむバカは後を絶たないが、それだけキャッチーで多くの人に認知された歌による宿命みたいなものでもある。

一方このフレーズと一字違いの歌詞で唄われる氷室京介の「ROXY」に対しては全く批判はない。

一字違うだけで意味は異なるのだから当然なのだが、これがもし一字違わずに同じだったとしても、おそらくは氷室の歌には誰もつっこまないんじゃないのかと思うのだ。

氷室京介ROXYの歌詞が尾崎豊15の夜と紙一重の件

氷室京介のROXY

伝説のバンドBOOWY解散後の氷室京介ソロファーストアルバム「Flowers For ALGERNON」は昭和最後の年(1988年)に発売され、約65万枚を売り上げヒットした。

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そのアルバムの2曲目に収録されているのが本題の「ROXY」という曲であるのだが、これは全体的にキャッチーなこのアルバムの中でも一番ポップな曲であり、作曲は氷室と吉田健による共作で、詩は氷室とクレジットされている。

初期のライブでは盛り上げ曲としてよく披露されていたが、年々セットリストからは外されていき、人気曲であるにも関わらずわりと不遇な扱いを受けている印象を持つ。

おそらくは吉田健主体の共作であるという点と、ポップなナンバーをライブではあまり採用したくないという氷室の考えによる所が大きいのだろう。

しかしこんなに陽気な気分にさせてくれる初期の代表曲でもあるポップチューンが忘れ去られていくのはもったいないので、個人的には氷室の楽曲の中でも一番思い入れがある曲なので、この際ここでフューチャーしたいと思う。

問題のサビの歌詞の一字違いによる明暗

Freedom くすんだ車で シケた夜をぶっ飛ばす

Freedom お前をさらって 夢の中へ逃げ込むぜ

このサビの一部分なんですけど、盗んだ車ではなくて、くすんだ車であるので、当然なんの問題もないのですが、パッと見の雰囲気は「15の夜」と似てなくはないですよね。

どっちも背景が「夜」であり、車体を走らせてるという点において。

一方超有名な「15の夜」の問題のサビの部分がこちら↓

盗んだバイクで走り出す 行く先も解らぬまま暗い夜のとばりの中へ

誰にも縛られたくないと逃げ込んだこの夜に自由になれた気がした15の夜

「自由」がキーワードとなっている点まで似てますね。

ただこれは氷室が尾崎にインスパイアされたと邪推して解釈するわけではなくて、歌の世界観も違いますので、むしろ私が勝ってに無理矢理類似点をこじつけてるだけにすぎませんw

ただもし氷室の「くすんだ車」が「盗んだ車」だったとしても違和感はなく、しかもそんなに後からリスナーからつっこみを受けるとも思えないというのが今回のテーマなのです。

というのも私はしばらくの間(十代の頃)、「盗んだ車」と歌ってると勘違いしていたからです。

くすんだ車って意味がわからなかったので、歌詞カード見ても誤字だと思ってたw

歌の主人公が成年か未成年かの違い

「ROXY」が大人の男の歌であるのに対し、「15の夜」は文字通り15歳の少年視点で描かれた歌だ。

大人がくすんだ車で夜を駆け抜けるのは勝手だが、未成年が他人のバイクを盗んで公道を走るのは大問題で、保護者の責任に繋がります。

なので「15の夜」のこのインパクトのあるフレーズはアンチの叩き材料としては最高のネタになったわけであるが、一方アンチすらほぼいない氷室がもし「くすんだ車」ではなくて「盗んだ車」でしらけた夜を走り抜けたとしても、誰も「それは犯罪ですよ」とはつっこまないんじゃないか?ということです。

例え「ROXY」の中のさらった女が未成年だったとしても、です。

つまり曲の認知度はもちろんであるが、歌い手のキャラとつっこまれ要素によるところが大きくて、尾崎はダメだけど氷室は許されるのがこの世俗のキモだよね、ということです。

あと尾崎はノンフィクションを歌ってる印象なのに対して、氷室は創作されたストーリーと感じられるからかもしれません。

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そもそもROXYってなに?

これ結構解らないままスルーしてる氷河期世代の方達多いんじゃないでしょうか?

昔「BOXY」っていう文房具のメーカーあったなぁと思ってましたけど、あとトヨタの車にもありますね。

なんとなくカッコイイ感じがするので別に違和感もないけど、知らないままでいるよりは知っておいた方がいいでしょう。

ワンクリックで調べてみたところ、「ROXY」とは女性の名前らしく、もうひとつは「夜明け」の意味を持つラテン語だそうです。

なるほど!シックリきますね!

確かに歌の世界観は夜明け前の真夜中だし、さらった女の名前がRoxana(ロクサーナ)なのかもしれません。(ROXY=愛称)

ロクサーナ(ロクサンナ・ロクサーヌ)という女性名はヨーロッパ(東欧)に多いそうですが、アメリカやイギリスでも見かける名前です。

 

この曲をイメージした時に、日本の繁華街というよりも、ニューヨークのような街並みを想像したので、やはり間違いなく女性も背景も諸外国で間違いないでしょう。

氷室がブロンドの女性と恋に堕ちても違和感はありませんから。

そうすると尾崎豊の歌に「ロザーナ」という曲もあるけれど、そこはもういい加減にスルーするとしよう。(「ロクサーナ」だったらスルーしないけどw)

尾崎豊は永遠の中二病だけど唯一無二の真の伝説のロック歌手だもうあれから30年弱経過してるっていうのに未だに聴いてるし、未だに全然好きなままだし、これはもう一生聴き続けるんだろうなと思う。 ...

ロックンローラーの三大欲求

オマケです。

氷室の同じアルバムの5曲目に「SEX&CLASH&ROCK’N’ROLL」という曲があります。

尾崎も「禁猟区」という曲のサビで「sex&drugs&rock’n’roll」と唄ってます。

同時期にZIGGYの森重にも「WHISKY,R&R AND WOMAN」という曲があります。

ロックンローラーはみんな破天荒な快楽主義者という事でしょうか。

森重は合法セーフですが、氷室のクラッシュ(破壊衝動)は器物破損で罰金&注意を受けますし、尾崎に至っては完全にアウトです。

ロックは麻薬(飽きない)という事なんでしょうけど。

こんな事言うのはさすがに野暮ですね。

まとめ

歌詞に突っ込むバカは音楽聴くな

氷室の車はくすんでいない

女をさらってはイケマセン