心の声を聞け

抜殻の数式

ただ流れゆく日々に身を委ね堕ちてゆく。

何に対しても熱くなれない。必死になれない。

どうでもいいよ、と全部が投げやり。

実際世の中で起きてるニュースから自分の身辺に到るまで、その全ての事柄がどうでもいい事で渦巻いている。

身の程をわきまえた未来って何だ? 可能な夢だけ見ろなんてこの上なく残酷だよ。

俺はこのパワーゲームからいち早く降りたつもりでいた。

けれど生きてる限り逃れられないみたいだ。

自分に出来る事の中からしたいことを選べ。何がある?

ペットショップのウインドゥ越しに見る仔犬の瞳に吸い込まれながら、可愛いものだけ見て過ごしていきたいと心の底からそう願う。

ささやかな暮らしを手にする事の難しさと維持する事の逞しさ。

今僕が欲しいのはそんな勇気と生命力。

愛もお金も成功も要らない。 何かを渇望するというエネルギーが欲しい。

でも、それさえも本音を言えばたいして欲しいと思ってないんだ。困ったもんだ。

50年後には何もかもが変わってしまっているだろう。 100年後には今いる人みんな死んでしまってんだろう。

全ては移ろい消えてゆく。

30年後の暮らしの保証が欲しくて不安に駆り立てられながら働く人々。

10年後の個人的な明るい未来の展望目指して前向きに励み勤しむ人々。

5年後すら予測不能なのに。

せめて明日の出来事くらい予知できる能力を身につけてから将来を語れってんだ。

解ってる事は人は確実に老いて死ぬだけという現実だけだ。

答えは出ていて公式の方を埋める数学のテストをやっているようだ。

□+□=10。 5でも4でもなんでもいいよ。好きな数字をはめてくれ。

俺は誰も書かない組み合わせで正解を出す事でくらいしか自分の人生を表現できない事が非常に悔しくて、どんなはみだし方をすればいいかを考えあぐねいて次の問題に進めずに立ち止まってるみたいなもんさ。

その間に他人は次から次へとスマートな回答で欄を埋めてってるっていうのに。

補修なんて受けないぜ。

死んでも進級してやるもんか