90年代回顧録

ドラマ人間・失格~たとえば僕が死んだら~個人的感想文

いじめを扱った作品・ドラマは数あれど、主人公が被害者の父親で、その後父親視点で復讐劇へと進展していく物語というのはそんなにはないだろうし、メジャーなものであればこれが最も異質な衝撃作と呼ぶに相応しいと思う。

ドラマ人間・失格~たとえば僕が死んだら

このドラマは94年夏にTBS系列の金曜ドラマ枠で全12回放映された。

ジャニーズ事務所でまだCDデビュー前のKinKiKidsが揃って準主役を演じ話題となる。

当時ヒットメイカーであった脚本家野島伸司によるオリジナルストーリーで、いかにもな社会派野島氏の描く青くて脆い世界観が痛々しい程に視聴者の胸をえぐる。

ストーリー概要

舞台は名門私立中学校で、神戸から引っ越してきた大場誠がクラスの中のいじめに異論を唱えた事で、いじめの標的となってクラスメートのみならず底意地の悪い教師たちからも標的にされ、四面楚歌となった挙句に転落死を遂げてしまうのが前半。
その後父親が復讐の鬼と化して殺人と殺人未遂を犯し、全ての登場人物が半狂乱になって罪と罰に震えて堕ちていく姿を描いたのが後半。

個人的感想

初主演の赤井英和と、ヒール役の当時小6であった黒田勇樹の演技が素晴らしい。

キンキキッズ両雄の爽やかなイメージは保持しつつも過激な展開で胸糞悪い教師役の斉藤洋介と加勢大周が絶対悪を演じ切るが、個人的には担任の桜井幸子の愚鈍さにムラムラ‥いやムカムカしてました。主人公の復讐を制止したりするしね。最後の演説も響かない。

クラスメートでは小柄な裕次(反田孝行)が一番目立っており、最初はいじめグループの主犯格に見えるのだが、衛に殺されそうになり、心から罪を償うも衛の妻に罵倒され、苦悩した挙句自殺を試みるも今度は衛に助けられ、最後は転校するという流れは丁寧でリアルだ。

メッセージとしては、いじめで人が死ぬということは、その後周囲の関与する全ての人間もどんどん壊れてしまうよということで、不幸の連鎖しか生まないという教訓だ。

父親による復讐劇は是か非か

この作品の賛否はここに尽きると思うのですが、社会通念上は良しとしないようでして、仇討ちを許可しない民法上当然の概念ではあるのですが、子の親としては敵を討とう思うのが真情ではないか。

作品の主人公・衛は息子をいたぶった体育教師宮崎を息子がされた体罰と同じ手法で溺死させて最初の復讐を遂行する。
次に息子のクラスメートを次々襲うが非情に成り切れずいずれも未遂に終わり、最後に黒幕の写真部顧問新見にも手をかけるが、これも担任森田によって制止されてしまう。

結果的に主人公・衛は悪い大人一人を始末しただけにすぎず、量刑は7年の実刑判決。
個人的にはこの復讐における仇討ちなら執行猶予が妥当だと思う。

いじめは法で裁かれる事はほとんどないので、被害者の親が執行人となって死神の鎌を振るう以外に加害者に相応の罰を与える事は出来ないのだから、心情的には仇討ち復讐を認めたいと思うし、その行為を妻子以外には止める事はできないと思う(今作ではいじめに気付かなかった愚鈍な担任が止めに入るが)。

娘がいじめられて父親が激怒して教室に乱入した二つの事件例自分の可愛い子供がいじめられてると知ったら親としては冷静ではいられなくなってもおかしくはありません。 むしろ愛情があれば自然な流れ...

⇩こちらの記事に詳しくストーリー概要&画像記載されてます。
NAVER まとめ 1994年の過激ドラマ「人間失格」

まとめ

この作品は現役中高生よりも子を持つ親が見るべき内容かもしれない。

最初から最後まで一貫していじめによる悲劇と苦痛とやるせなさを描き切った傑作である。

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