いろんなアニメを見てきました。
近年のアニメでもえげつないいじめ描写をする作品はいくつもあります。
例えば「魔法少女サイト」の第一話はいきなりキツイですし、
「3月のライオン」第2シーズン第4話も結構リアルです。
「ViVid Strike!」の4話も壮絶ですがカタルシスはあります。
でもどれも物語の中のエピソードとして2話くらいに収めたいじめ回があるというもので、全編とおして陰湿で不快で胸糞ないじめが救いようもなく継続されるアニメ(それも1年間!)というのは「小公女セーラ」以外に私は知りません。
世界名作劇場アニメ小公女セーラ
「小公女セーラ」は1985年にフジテレビ系列で放映された日本アニメーションによる世界名作劇場作品。
隆盛を誇っていた高品質な名作アニメ枠であったが、数年前から視聴率の低迷に悩まされており、この「セーラ」で挽回すべく舵を取り、悲壮に打ちのめされる不幸な弱者が我慢の末に報われるという日本人が大好きな展開を1年かけて描き切ることで、離れた視聴者を取り戻した名作劇場の中期立役者的作品でもある。
ストーリー概要
とても裕福な家庭で育ったセーラは、10歳の冬にインドからロンドンの寄宿学院へ転入し、代表生徒に抜擢されますが、父の死によって状況は一変。学院のメイドにされて以後は院長やらコックやら生徒やらに心ないいじめを毎日受け続ける事になるのでした。
小公女セーラは陰湿不快胸糞いじめアニメ
冒頭でも申し上げました通り、とにかくこの作品のいじめ描写はひどいです。
主にいじめを行う院長とコックと代表生徒はセーラ憎しとこれでもかと執拗にストレスの捌け口のようにしていびり倒します。三者それぞれ別々に攻撃してくるので、セーラの気の休まる場所がありません。
男の分かりやすい暴力とはまた違うので余計に重たくなります。
この作品は一定の評価を受けておりますが、私は個人的には全く評価しません。
生理的に大嫌いな作品です。
なのでオススメするつもりもありません。
弱者を虐げるサディスティック嗜好の方には大変楽しめる内容かと思いますが、普通の人または迫害を受けてきて人間不信気味の方などは観ると余計に絶望的な気持ちになります。
でも逆に子供が加害者気質を持っていそうならばこの作品を見せて、いかに弱者をいじめる行為が卑劣で醜いものであるかという教育にはなるかもしれないので、むしろいじめっこタイプの子供に見てもらいたい作品かもしれません。
または子供にいじめ加害者になってほしくないと願う保護者の方は、お子様が小学生のうちにこの作品を見せておくのがいいかもしれません。
反撃しないというプライド
セーラは一貫して意地悪な相手に対して反抗的な態度をとりません。
されるがままに「すみません」と言ってぶしつけな命令に従います。
これには見てる方もイライラしますが、きっと作中の意地悪キャラ達もこのセーラの聖人君主な態度にイライラしていたのかもしれません。
いじめる側はターゲットの崩壊する姿を期待します。
つまり大泣きしたり、反撃してきたり、自殺しようとしたり‥を期待してるのです。
それなのにセーラのようにひたすら耐え忍ばれると、加害者側は己の明らかな非を実感するだけになるので、更にムカついてくるという負のスパイラルが形成されます。
最後までキャラ崩壊もせず、再び地位を取り戻しても復讐をしなかったセーラには、カタルシスを感じられずモヤモヤして視聴者は加害者のヤリ得感に納得しないまま終わるのですが、今改めて考えるとこれもセーラなりの最大級の勝利宣言なのかもしれません。
何故なら復讐してしまっては同じ土俵に降りる事になってしまうからです。
セーラにとっては一貫して聖人君主なプライドを守り続ける事こそが負けなかった証明になるのかもしれません。
セーラをいじめていた彼女達は、どうせなら思いきり罵倒されて追い出される事をも覚悟していたはずですし、そうなっても納得して罰を受け入れる腹づもりもあったはずです。
なのにそうはならず、神々しい笑みで重ねた罪をも包容される事で、完膚なきまでに己の卑小さを思い知らされ、セーラに対して完敗を認めて恥じるに留まります。
現実においてはこのような逆転現象などほぼほぼ起こりませんし、例えいじめられていた者が上位者に変遇する事になったとしても、セーラのようにはなれませんし、セーラのように振舞う事が正しいのだと思う必要もありません。
これはわかりやすい悪人と聖人の織り成すフィクションです。
おわりに
最後にセーラ研究サイトさんの一部記事をご紹介して終わりにいたします。
個人的にはこれでもラビニア(代表生徒)はマシな方で、更にコックメイド夫妻の方が共生する時間も長くキツく、ミンチン院長に至っては理不尽なパワハラ虐待で目もあてられません。これ現在ゴールデンタイムに放映したら多分苦情殺到で改変要求必至かと思われます。