リンドバーグが好きでした。
渡瀬マキの澱みないボーカルとストレートな歌詞、バックの実力派の演奏力が合わさって、紅一点バンドの中では最もポピュラリティーを獲得した一時代を築いたバンドでしょう。
「今すぐKiss Me」で早々にブレイクして以降も一発屋にならずに安定したヒットを飛ばしましたが、ジュディマリ等の台頭により95年以降急降下してしまいました。
しかし堕ちた要因はそれだけではないと考えられます。
リンドバーグはシングルのリリース量産が数的に激しすぎました。
確か90年代で最も多くのシングルをリリースしたアーティストとして記録されてるはず。
二枚連続リリースとか三枚連続とかアルバム発売前に何度もやってたイメージです。
とにかく徳間(テイチク?)のシングルの選曲とリリース間隔が下手だったな、と。
そこでリンドバーグのシングル史を個人的にこうだったら良かったのにと、勝手に改善修正していきたいと思います。
LINDBERG シングル失敗の系譜
ROUTE246→TAKE ME HIGH
リンドバーグのデビューシングル「ROUTE246」はファーストアルバムと同発で、ZIGGYの森重作曲の外注ものであった。
ファーストアルバムでメンバーの自作曲(詩と曲の両方をメンバーが書いたもの)はバラードの「MINE」だけなので、アルバム同発のシングルはどれでもよかった。
結果的には初期のライブで安定的に演奏された最もキャッチーな「TAKE ME HIGH」が良かったのではないかと思われる。
どちらにせよ売れる見込みはこの時点ではゼロなので、当時ネームバリューのあったジギー森重による曲を優先したとしても納得はする。
JUMP→LITTLE WING or YOU BELONG TO ME
2ndシングル「今すぐKiss Me」が大ヒットした翌月に続けざま3rdシングル「JUMP」をリリースするも、こちらはヒットの恩恵は受けられず。
それもそのはず「JUMP」は既発の2ndアルバムからのシングルカットであり、楽曲自体も地味だった。
わざわざ「~Kiss Me」のヒット中に過去曲をねじ込むよりも、ヒットの落ち着いた初夏にCFタイアップしていた「LITTLE WING」か「YOU BELONG TO ME」をアルバム「Ⅲ」からのリカットシングルとしてリリースした方がしっくりきただろうし、売れたはず。
三ヶ月連続シングルOH! ANGELは要らなかった
秋に待望の新曲4thシングル「Dream On 抱きしめて」がリリースされる。
続くCFタイアップ曲「ROUGH DIAMOND」と、共に求められるLINDBERGらしさ全開のナンバーであり、どんどんファンが拡大していく兆しが窺える中、三ヶ月連続シングルとして最後の「OH! ANGEL」を聴いてガッカリしたのを覚えている。
わざわざこの凡曲をシングルとして出す必要があったのか。
カップリングの「NOBODY KNOWS」の方がノリは良いが、それでもシングルとしてはギリ及第点である。
アルバム「Ⅳ」への期待を紡ぐ為にも2枚で充分だった。
GLORY DAYS→BELIEVE IN LOVE
アルバム「Ⅳ」発売前の先行シングルとしてバラードの「GLORY DAYS」がリリースされるが、これがただ眠くなるだけの駄曲でして、どうせならカップリングの「SUNSET BLUE」の方をA面で推すべきだった。
というよりもこの時期にCX「夢で逢えたら」の新OPに採用された「BELIEVE IN LOVE」をアルバム発売前の先行シングルとして出す事が自然であり、後にアルバム発売後にリカットはされるものの、この曲は絶対先行シングルとして出すべきでしたね。
この辺も当時すごくモヤモヤしました。
なんで「Ⅳ」の先行シングルが「GLORY DAYS」なんだ?‥って。特にタイアップもないというのに!
どうしても出したいなら順番逆で「GLORY DAYS」の方をリカットにしろよ(怒)
てゆーかリカットするにしても「SUNSET BLUE」だろ!
I MISS YOU→CASH CARD
夏にアルバム「Ⅳ」からのリカットシングル「BELIVE IN LOVE」リリースの後、秋に新曲「I MISS YOU」がミニアルバムの先行シングルとしてリリースされる。
でもカップリングの「CASH CARD」の方がノリが良くて好き。
どうやら僕は達ちゃんの曲より智ちゃんの曲の方が好きみたいだ。
「CASH CARD」はアルバムに入らなかったので結構なレア曲となりました。
ミニアルバム「EXTRA FLIGHT」は微妙な駄作でして、こんなんならわざわざ急いでリリースしなくても次の「Ⅴ」で厳選すればいいのに、契約上の都合でもあったのでしょうか?
どうやらあったみたいです。
そもそもリンドバーグのリリースが異常にハイペースだったのは徳間の方針というか契約だったみたいです。
さよなら Beautiful Days →Ove The Top
「恋をしようよYear!Year!」を挟んでベストアルバム「FLIGHT RECORDER」からの新曲として同時リリースされた「さよなら~」だが、これがどうしようもなく駄曲で、こんなんなら出さなくていいのにといった具合でした。
どうせなら「さよなら~」よりも「FLIGHT~」にも収録されているCFタイアップ付きの「Over The Top」の方をシングルで出すべきだったのではないか。
当時田村亮子(ヤワラちゃん)のイメージソングとして浸透していたからね。
「さよなら~」はそのカップリングである方が適当だったのではないか。
この翌週に2週続けてのリリースとしてアニメ主題歌である「Magical Dreamer」が発売されるため、アルバム「Ⅴ」からのリカット曲を続けて2枚出すわけにはいかなかったというわけだろうか?
大事な時期だっただけにこれは後のセールスに大きく響く悪手だったのではないか。
初のベストアルバムとしての「FLIGHT RECORDER」も不調な声と微妙な選曲で最悪であった。
想い出のWater Moon→君に吹く風
アルバム「Ⅵ」からのリカットシングルとして無理矢理リリースした感のあるリンドバーグ史上最も印象の薄い地味なシングル。
これもどうせならカップリングの「君に吹く風」の方をA面推しにするべきで、もっと言うならアルバム「Ⅵ」と同発でリリースするのも「会いたくて-Lover soul-」よりも「君に吹く風」の方が良かったのではないだろうか?
アルバム「Ⅵ」は全曲シングル化できそうな粒ぞろいで、個人的には「Ⅳ」の次に好きだ。
夢であえたら→大きくなったら
「EXTRA FLIGHTⅡ」からのリカットシングルとして、CFタイアップの付いたアルバムリード曲である「夢であえたら-Do you love me?-」をチョイスするが、これもわざわざ出さなくてもよかったのではないか、と。
CFタイアップがつくも非売品としてリリースされなかった「大きくなったら」の方がよっぽどキャッチーでシングルっぽいのだが。
そんで「キャッチボール」をカップリングにして出してほしかった。
水着とBeachとBoys→きっと銀の針のような雨が
特に述べることのない「Ⅶ」を割愛し、珍しく活動休止中でいっさいのプロモーション活動を行わなかった「Ⅷ」の先行シングルが「さよならをあげる」と「水着と~」である。
「水着と~」はタイトルも歌詞も恥ずかしすぎて目も当てられない出来だ。
カップリングの「Ring My Bell」が良作だっただけに、普通にこっちをA面に持ってくるべきだったのではないか?
後の「もっと愛しあいましょ」に繋がるのだが、あえて軽薄なノリを積極的に取り入れていく方針だったのかもしれないが、この流れこそがファン離れが加速した一因だったと推測できる。
これまで散々余計なリカットシングルをリリースしてきたリンドバーグであるが、よりにもよって「Ⅷ」からのリカットシングルはリリースを見送った。(レコ社移籍の都合か)
せっかく「きっと銀の針のような雨が」がCMソングとして採用されて好評だというのに。
この曲リンドバーグのバラードで個人的に一番好きなので、非常に残念!
もし先行シングルが「銀針」だったなら、「Ⅷ」のアルバムセールスはもうちょっと伸びていたはずで、「水着と~」の罪は重い。
アルバム「Ⅷ」はあまり評判が良くなかったが、「Ⅴ」や「Ⅶ」より全然良いんですけど。
every little thing every precious thing
後にタイガースの藤川球児の登場曲として長らく愛されることとなる名曲だが、リリース当時はアルバム「Ⅸ」の先行シングルのうちのひとつでしかなかった。
壮大なストリングスでスケールのある名バラードに仕上がっており、どうせなら人気ドラマの主題歌に起用されていればもうちょっと認知度もあげられたのではないかと悔やまれる。
リンドバーグのシングル曲はCFタイアップか番組テーマソングにことごとく起用されてきたが、ドラマ主題歌となったのはこの曲の次にリリースされた「Green Eyed Monster」と、代表曲の「今すぐKiss Me」だけであるというのも皮肉な話だ。
LINDBERGアルバム「Ⅸ」までと「Ⅹ」以降
アルバム「Ⅸ」は「もっと愛しあいましょ」のスマッシュヒットと三枚連続シングルリリースに伴い下降していたセールスを盛り返すことに成功した。
しかしそれが最後の花火であり、筆者もアルバム「Ⅹ」を聴いてリンドバーグから完全に離れた。
アルバム「Ⅹ」も発売前に例の如く先行シングル3枚をリリースしていたのだが、どれもキャッチーさが失われており、風前の灯火のような悲壮感すら窺えた。
それでもアルバムはどうだろうとレンタルして聴いたが史上最低最悪の出来でした。
「完全に終わったんだな‥」と思い残すことなく見限れました。
その後もリンドバーグはレコ社を変えたりインディーズになってまで最終的にアルバム「15」まで出して解散するんだけど、結果論ですがキリの良い「Ⅹ」のタイミングで解散するべきだったのではないでしょうか。
「Ⅹ」の時であればまだそれなりに惜しまれつつの解散ライブツアーがそれなりのキャパで行われたと思うからです。
「Ⅺ」以降の楽曲をほとんど聴いていないので後期のリンドバーグがどのような音楽性に変わっていったかなどは語れないのですが、おそらくあまり変われなかったのではないでしょうか。
後期アルバム「LINDBERG11~15」はどれがいい?
リンドバーグの中古CDはブックオフにたくさん並んでます。
でも11~15の後期は巷に出回ってないので当然入手も困難です。
14と15に至ってはインディーズレーベルなので更にレアとなります。
でも11以降のアルバムは聴く気にもならなかったわけですが、どうもラストアルバムの「15」だけはメンバーの気合が入っているらしく楽曲の質が高いらしいです。
私がネットで調べた限りでは「15」の評判は売れなくなった後期の中では極めて良質だそうです。
尚「11」と「12」も以前のリンドバーグに回帰したような雰囲気で悪くはないようです。
つまり「9」と「10」よりはマシということです。
でも「13」と「14」は聴く価値がないそうです。
なのでリンドバーグを「Ⅸ」を最後に聴かなくなった多くの元ファンの中で、もし今その後の楽曲が少し気になるという方は「15」だけでも探して購入する価値はあるかと思います。
リンドバーグを新規で聴くならどれがいい?
滅多にいないとは思いますが、もし今からリンドバーグを聴いてみようかなと思ってる世間ズレした奇特な方がいらっしゃいましたらば、きっと何から聴けばいいのか判らないと思います。
普通は手頃なベストから手にするでしょうけど、ベスト盤も何枚も出てますから迷いますよね。
私見というよりもファンのほぼ全員が答えるでしょう正解は「Ⅳ」です。
ベストよりもベストな内容であるオリジナルの「Ⅳ」で間違いないです。
「Ⅳ」はリンドバーグの最盛期にあたり、一番売れたミリオンアルバムですが、内容的にも文句なしです。
次点が代表曲「今すぐKiss Me」の収録された「Ⅲ」ですね。
アルバムは「Ⅲ」と「Ⅳ」だけ聴けばまず間違いないです。
それでもっと以降の曲も聴きたいと思えばそこで初めてベスト盤を購入するか、「Ⅵ」か「Ⅱ」に手を伸ばすのがベターかと。
個人的なアルバム評価は以下になります。(10まで)
4>6>2>3>E2>8>>9=5=7>1=EF>>10
アルバムは奇数がダメで偶数が良いと覚えておいてください。
リンドバーグの再評価はくるか?
リンドバーグって過小評価されてる印象で、もうちょっと再評価されてもいいような気もするのですが、これだけ年月が経過してもイマイチなので、もうその兆しはないでしょう。
ただそれでもリンドバーグが青春だったというのが私を含む氷河期世代(団塊Jr)で人数が多いので、一定数の古くからのファンがずっと支えてはいくんだと思います。
中年になって聴くような曲でもないような気もするのですが、そんなこと言ったらほとんどのJ-POPはそうなので、まぁ懐かしいというだけで充分なのではないでしょうか。
シンプルなバンドサウンドが今聴いても耳心地良いです。
レベッカよりもプリプリよりもリンドバーグでしょ。
SUNSET BLUE
ROUGH DIAMOND
BELIEVE IN LOVE
LITTLE WING
忘れないで(ちょっと渋すぎるかw)