音楽業界で一発屋で終わらないためには、続けて最低二曲売れなくてはならないのだが、しかも同じタイプの曲調では幅がないことが露呈してしまうため、アップチューンでプチヒットした後にはバラードで売れることが条件であり、その条件をクリアしたバンドだけがしばらく安泰でいられる保証をようやく獲得できるというものなのである。
10年以上活動できたグループは大概これを達成している。
J-POPシングルヒットと不動人気の法則
サザンオールスターズ
勝手にシンドバッド⇒いとしのエリー
デビュー曲でいきなり派手に登場したものの、いとしのエリーがなければサザンは間違いなくただのコミックバンドで3年で終了していたはず。
あの時代にいとしのエリーが生まれなければその後のヒット曲は邦楽史に刻まれることもなかったと考えると恐ろしい。
チェッカーズ
ギザギザハートの子守歌⇒涙のリクエスト
THE CHECKERS 30TH ANNIVERSARY BEST~7×30 SINGLES~
- アーティスト:チェッカーズ
- 発売日: 2013/06/19
- メディア: CD
こちらはデビューこそパッとしなかったが二曲目のバラードで大当たりしてその流れでデビュー曲も売れて、三曲目が発売した時には3曲同時ベスト10入りという快挙を果たすという苦労知らずっぷり。
チャゲ&飛鳥
太陽と埃の中で⇒SAY YES
- アーティスト:CHAGE&ASKA
- 発売日: 2001/06/20
- メディア: CD
「万里の河」や「モーニングムーン」などのプチヒットはあったものの、ベスト10にランクインしたのは「万里の河」(80年リリースの3枚目)と、25枚目のシングル「DO YA DO」(10位)のみで、26枚目の「太陽~」で初めて3位にまで上り詰めてからの「SAY YES」での大ブレイク。
10年もの間レコード会社がよく我慢したなという印象だが、コンサートの動員数やアルバムセールスで稼ぐタイプで、シングルヒットにだけ苦労していたようだ。
X(エックス)
紅⇒ENDLESS RAIN
メジャーデビュー曲「紅」で過激なヘヴィメタバンド登場というインパクトを与えてすぐのセカンドで「ENDLESS RAIN」という極上のバラードをリリースして大衆のハートを鷲掴みにする。「ENDLESS RAIN」がなければその後のXの評価は絶対にない。
B’z
LADY NAVIGATION⇒ALONE
B’z The Best XXV 1988-1998(初回限定盤)
- アーティスト:B’z
- 発売日: 2013/06/12
- メディア: CD
前年のブレイク時に「Easy Come,Easy Go!」⇒「愛しい人よGoodnight…」という流れもあったが、アルバム発売直前のリリースで「Easy Come~」と同月に立て続けだったこともあり、「愛しい人よ~」のシングルは売れず。
翌年きっちりとデジポップの「レディナビ」からのバラード「アローン」でスマッシュヒットを難なく更新する。
Mr.Children
innocent world⇒Tomorrow never knows
- アーティスト:Mr.Children
- 発売日: 2001/07/11
- メディア: CD
前年「CROSS ROAD」でスマッシュヒットをかました後に、同じ系統の「イノセントワールド」で大ブレイク。アルバムを挟んでドラマタイアップのバラード「トゥモネバ」で20年保証された人気を不動のものにした。
globe
SWEET PAIN⇒DEPARTURES
- アーティスト:globe
- 発売日: 2010/09/29
- メディア: CD
デビューから3枚ポップチューンで人気を高めた後の4枚目のバラードでダブルミリオンを記録する。ヒットメーカーとして10年戦士の小室哲哉ではあったが、バラードシングルでのヒットはこれが初。globeといえば冬というイメージを確立した。
THE YELLOW MONKEY
太陽が燃えている⇒JAM
THE YELLOW MONKEY MOTHER OF ALL THE BEST (初回生産限定盤)
- アーティスト:THE YELLOW MONKEY
- 発売日: 2004/12/08
- メディア: CD
吉井和哉があからさまに売れ線を狙って書いた「太陽~」で初のシングルベスト10入りを果たし、アルバム(1位)を挟んで珠玉のバラード「JAM」が問題作にして代表曲に。
GLAY
グロリアス⇒BELOVED
REVIEW II ~BEST OF GLAY~[4CD](特典なし)
- アーティスト:GLAY
- 発売日: 2020/03/11
- メディア: CD
デビュー三年目の「グロリアス」で初のシングルベスト10入りを果たし、続く「BELOVED」で一気に人気バンドにのし上がる。
翌年のシングル「口唇」⇒「HOWEVER」もデジロック⇒バラードの流れであり、GLAYはバンド名の通り黒と白の間を上手に往来する音楽性を解り易く届けることに長けていた。
その翌年の「誘惑」「SOUL LOVE」の二枚同発もまたしかり。
L’Arc~en~Ciel
虹⇒winter fall
- アーティスト:L’Arc~en~Ciel
- 発売日: 2001/03/14
- メディア: CD
前年から既に売れてはいたが、メンバーの不祥事脱退によって一年間の謹慎ブランクを経て、バンド名をタイトルにしたバラードで再起を図り、前年の倍のセールスを記録。
その次に疾走感のあるポップチューン(通称tetsuポップ)「winter fall」で人気と勢いは加速度的に増す。
ラルクに限りバラードが先の流れだが、御容赦いただきたい。
まとめ
全て20世紀のバンドであり、古い話で申し訳ない。
2000年以降(ここ20年)はアニソンや同人系電波ソングしか聴いてないので疎くなってるのでわかんないんですが、たぶんこの法則は活きてるかと思います。
何故かソロアーティストの場合はバラードでのヒットはバンドやユニットに比べてそこまで重要課題ではないんですけどね。謎です。