ジャンプといえば発行部数ですが、最盛期の95年(平成7年)には653万部まで伸ばした化け物コミック雑誌なわけですが、現在でも漫画誌ナンバーワン発行部数は揺るがずとも、数字としては160万部をも割ってるそうです。
少子化、デジタル化が主な要因ではありますが、25年前の25%になってしまった現状は嘆かわしいですが、売れなくなった原因はズバリ連載作品ラインナップがつまらなくなったからというのが一番の理由かと思いますよ。
でもだからといって最盛期の95年が一番面白かったかといえばそうではありません。
90年以降というのは80年代の財産の余力の引継ぎみたいなもので、内容的には80年代半ばがピークだったと個人的な主観も踏まえて言い切らせてもらいます。
1986年の週刊少年ジャンプは文字通り全国の少年たちの心を毎週弾ませました。
1986年の週刊少年ジャンプ黄金の漫画タイトル12選
北斗の拳
最盛期最強世代のジャンプ連載陣の中でも常に毎週の読者アンケート1位or2位を取り続けていたのが「北斗の拳」だそうです。
これ、大人が見ても楽しめるし、現在でも古さを感じさせない世界観なんですよね。
もちろん当時の小学生も心酔させるという、まさに最強のコミックに認定できます。
前年からアニメ放映もやってましたし、大人気でしたが、子を持つ親はこんな残虐なもの見せていいものかと戸惑ったに違いなかったです。
勧善懲悪ものでありながらも敵対するラオウにもカリスマ性があって、随所に男の美学と命の尊さみたいなものがメッセージとしてあり、エンタメ作品としてよく出来てます。
ドラゴンボール
社会現象にもなった大ヒット作「Dr.スランプ」の終了から僅か3ヶ月のインターバルで始まった鳥山明先生の2作目。
86年2月からはアニメ化もされ、早い段階で天下一武闘会が描かれたことで人気は上り調子に。
今ではドラゴンボールが語られる時、大抵は悟空が大人になってからのナメック星編であったりするが、個人的には初期の子供悟空の頃のストーリー展開も非常に秀逸で評価できる。
あの絵の可愛さと奥行きのある構図とセンス、それに冒険とバトルの要素が加われば、これはもう人気が出ないはずがないわけで、世界中全員納得のキングオブコミック作品ではないでしょうか。
キン肉マン
80年代前半~半ばのジャンプを圧倒的な人気で牽引したいわばジャンプの最高労作品。
特に83~84年頃の人気は凄まじく、リアルタイムで小学生だった私もこの作品をきっかけにジャンプを読み始めました。
結構粗っぽい展開で大人の目線からはツッコミどころ満載な部分でも、そこがむしろ豪快に突き抜けていて、漫画ならではの力技で理屈を抑え込むだけのエネルギーがあった。
人気も常に「北斗の拳」とトップを競っており、常に掲載順も前の方だった。
しかし85年秋に原作の嶋田先生が腰痛で連載は三ヶ月間の休載となり、この休載明け以降人気は下降線を辿り、87年春に完結する。
現在も続編が熱い展開で繰り広げられており、40代の読者から根強く支えられている。
ハイスクール!奇面組
最盛期ジャンプのギャグ漫画枠でトップを張り続けただけあって、素直に面白かった。
「奇面組」の魅力はギャグマンガにありがちな下ネタや下品な笑いが一切なく、変態と謳いながら常に上品で健全な世界観を維持し続けた事だ。
キャラクターの名前付けが天才的なセンスで、ギャグのテンポもこぎみよく、何より誰が見ても不快感がないのです。
随所に散りばめられたセンチメンタルな甘さと軽快なやりとり。
ほのぼのした学園生活と清い男女交際。
私にとって漫画キャラの初恋が唯ちゃんでした。
その後作者の新沢先生は腰痛でリタイアしてしまったのが残念。
シティーハンター
「キャッツアイ」で一世を風靡した後の北条司先生、満を持しての二作目。
相変わらずアダルトな作風でありながらも、ハードボイルドと女好きの二面性を持った主人公冴羽リョウの魅力で展開するスリリングな描写で前作を越えるヒットに。
とにかく絵が巧いですよね。大人の女性を描かせたら右に出る漫画家はいないでしょう。
個人的には「キャッツアイ」には全く惹かれなかったのですが、「シティーハンター」は大好きでした。
翌年にはアニメ化もされ、中学生になってからコミックを全巻揃えました。
小学生にはちと難しいんだけど、中学生だとすごく楽しめる少し背伸びした作品ですね。
キャプテン翼
サッカー漫画の金字塔、世界中から愛される日本漫画が誇る超大作ですね。
こちらも「キン肉マン」と並行して力技の魅力で押し切るタイプで、まだサッカーがプロ化される前の時代だっただけに、アクロバティックで漫画的な表現に魅了されました。
ツインシュートは何回も友達と合わせようとトライしましたが、なかなかうまくいかなかったのも良い思い出ですw
努力型の主人公が多かった時代に、天才の主人公が無双するという展開は逆に新しかったですね。
仲間やライバルのキャラも立っていて、この作品を脅かすサッカー漫画が以後結局世に生まれなかったのも納得です。
魁!!男塾
個人的にはこの男臭い世界観と劇画調の絵が受け付けなかったのですが、人気ありましたね。
掲載順も常に上位だった記憶があります。
88年にアニメ化されたものを観たのですが、面白かったですw
このバカバカしい女人禁制の男だらけの闘いに血と涙の友情が織り成すサバイバル。
古き良き少年漫画の魅力が詰まってます。
聖闘士星矢
ジャンプの功労作家車田正美先生が放つ自己最高ヒット作もこの年の初号より連載開始。
翌年には早くもアニメ化されてここから腐女子のジャンプ流入を許す結果に。
十二迷宮バトルは必殺技のオンパレードでド派手で楽しめました。
アニメ映えするんですが、個人的には好みではありませんでした。
ついでにとんちんかん
月間のフレッシュジャンプで「死神くん」というハートフルコミックを描いていたえんどコイチ先生をすでに知っていました。
「死神くん」は泣ける系の作品なのですが、随所にギャグも散りばめられていて、この人ギャグ漫画も描けるんだろうなぁとは思っていたので、ギャップに驚きはなかったのですが、予想以上に爆笑させられました。
当時小学高学年だったのですが、友人同士腹抱えて涙が出る程笑ってたのを覚えてます。
特に警官側の天地君ってキャラが抜作先生以上にヌケてて好きでしたね。
87年秋から「奇面組」の後番組としてアニメ化もされましたが、アニメの印象が薄いのは再放送が全然なかったからでしょうね。
きまぐれオレンジロード
ジャンプのラブコメ枠はひとつかふたつしかなく、しかも短命に終わる率が高かったのですが、この「オレンジロード」は80年代を代表するラブコメ漫画になりましたね。
友人には読んでないような振りしてこっそり熟読してましたねw
絵も癖がなくて丁度良い感じの可愛さとエロさがあり、恋愛三角関係と超能力コメディを合体させて上手にエピソードを紡いでいた印象があります。
翌年にはアニメ化もされてオシャレな感じでクオリティ高かったです。
春日恭介の優柔不断男主人公像というのは後のギャルゲーの多くに引き継がれましたね。
鮎川まどかのモデルはデビュー当初の中森明菜ですが、言われずとも納得です。
銀牙ー流れ星銀
闘う犬の群れの物語という唯一無二の作品。
ほとんど人間は出てこなくって、野良犬(オオカミ?)たちの闘争世界が描かれており、シリアスで引き込まれるんですよ。
丁度この年アニメ化もされて、アニメの方で楽しんでました。
単行本で集めてる友人が一人いましたけど、変わってるなぁと思ってましたw
こちら葛飾区亀有公園前派出所
言わずと知れたジャンプ最長のレジェンド作品。
「こち亀」の全盛期も80年代だったと思います。
この頃のエピソードが一番人気があるような気がします。
個人的には「こち亀」は嫌いなので文字も多いし読みとばしてました。
両さんってガサツで横暴で下品でブサイクで最低じゃないですか。
どこに魅力があるんだか全くわからないですね。
こんな人リアルでいたら普通に嫌われ者でしょう。
96年にまさかのアニメ化されますが、ラサールの声も最悪でした。
「こち亀」が世間から高評価の意味が解りません。
アンチの声も全く聞こえませんしね。
不思議です。
まとめ
ということで1986年の週刊少年ジャンプ掲載人気漫画作品をピックアップしてレビューしてまいりましたが、このラインナップから漏れた不遇の作品の中にも良作佳作はいくつもあり、本当にこの時期のジャンプはレベルが高かったなと思うばかりです。
現在86年のジャンプを毎週復刻発売したら、多分今のジャンプより売れるかもしれませんね。
あの頃のように、土曜日に発売されるババアの小売店で先買いする興奮を、もう一度味わいたいものです。