90年代回顧録

山田花子(漫画家)自殺してもしょうがないのはこの人だけ!

自殺のほとんどは錯乱状態による突発的な過ちであり、冷静になって考えてネットで相談するだけでも今死ぬべきでないという解答が容易に獲得できるのですが、自殺してしまった人の中で100人に1人くらいの割合で、この人はもうしょうがないよね‥って人は残念ながら存在します。

それが92年5月に享年24歳の若さで自殺した漫画家・山田花子である。

山田花子の性格

山田花子の細かい略歴は割愛させていただく。(wikiでも読んでくれ)

主に「ガロ」で描いていたマイナー日常自虐系漫画家だ。

山田花子はどんな性格であったか、紐解いてみる。

プライドが高い

まず根底にあるのがプライドの高さだ。

賢く気高くあるべき自分を維持したいと思いながら、実際は心の中で軽蔑しているクラスメート達からバカにされ、ヒエラルキー最下位という現実に苦しめられる。

プライドが高いのでうまくお道化ることもできない。

自分はサブカルに詳しくて芸術家肌だという意識の高さを捨てられない。

不器用で神経過敏

人の顔色を窺うというよりも人の心の悪意を瞬時に読み取ってしまう能力が研ぎ澄まされており、人の善意も裏にある欲望を察知し、それを断ると自分が悪者にされてしまう事まで予知し、仕方なく受け取ろうものなら謝意を要求され、口ごもっていると「そんなんじゃダメだよ」と上から目線で最終的に注意されるというのが彼女の思い描く対人関係の大筋。

処世術が許せない

いじられたらうまく立ち回ってお道化ていじめっこの懐に入ってしまえばいいじゃないかと解っていながらも、それは生きる為の処世術行為として非常に醜いと嫌悪するためにできない。

器用に上の者に媚びる事はプライドが許さない

以下、上に戻りループ。

山田花子の漫画

オチもなくリアルないじめ描写

山田花子の描く漫画は一見ギャグマンガ風だが、それは単に絵が汚いからなだけであり、全編通して極めて現実的な日常の風景をオチもなく切り取る形で描いており、いじめる側の心理といじめられる側の心理を細かくリアルに描写し、普通に読んでいたら嫌な気持ちになるだけで、笑いもカタルシスも何もない。

しいて言うならいじめられっ子が「あるあるw」と共感する程度のものである。

不人気作品と作家としての価値

笑えるわけでもなく、救いがないのでエンタメに昇華しきれていない。

これでよく商業作品として世に出たなと思う程のもので、実際人気アンケートも最下位常連であり、漫画だけで食べていける程の収入は得られていなかった。

グロテスクな感性の若い女性作家という部分だけに多少の価値を見出されたのだろう。

そこは本人も気付いていて、数年先も漫画家でいられるという自信はなかった。

山田花子は何故自殺したのか

ウェイトレスでバイト

漫画の原稿料だけでは生活できない為、山田花子は昼間にバイトを掛け持ちしていた。

せめて自分に見合った職種を探せばいいものを、手軽に応募できるからか、家から近いからか、喫茶店のウェイトレスで働くことが多かった。

要領が悪く物覚えも悪いので当然すぐにクビになるのだが、最後の喫茶店では店長に泣いて辞めたくないと懇願したそうだ。

自身の漫画のネタ収集の狙いもあったみたいで、バイト仲間から陰口を言われたり失敗したりする様を悲しい程自虐的に描いている。

家族の世話になるのが嫌だった

結局バイトもクビになり、漫画の仕事もなくなり、鬱で精神状態も悪いため、一人暮らしをやめて実家に帰ることになる。

が、山田花子は実家で両親の世話になるのがものすごく嫌でたまらなかった

実家で生活すれば親の支配下に置かれてしまうわけで、あれやこれやと小言を言われるだろうし、食べたくないのに食べろと強制されて太らされてしまう。

家族に対しても心を開かないどころか敵対視しており、彼女の友は「孤独」だった。

自殺した日

一人暮らしの部屋の片付けも終わり、実家での生活を始めた矢先だった。

精神病棟に入院し、退院したその日だった。

母親と買い物に出掛けて、別れた直後だった。

夕刻、高層団地の最上階から彼女は飛び降りた。

遺体に損傷はなく、顔は安らかだったという。

骨盤骨折、内臓破裂。享年24歳。

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